夏のオトシゴ

オトシゴと聞くとタツノオトシゴを連想してしまいますよね。
オトシゴとは妻以外に産ませた子、という意味があります。
タツノオトシゴは形が龍に似ているから、龍のオトシゴ、なんですね。

アイスピックさんが作者の夏のオトシゴは語感がちょっと似ていますが、ちょっと違うお話です。
舞台は日本のとある都市。
大都会というわけではないけれど、田舎というほどでもないどこにでもありそうな都市です。
そして登場するのもキラキラと輝く女の子や男の子ではなく、どこにでもいそうな女の子と男の子です。

お互いクラスではあまり目立たない方なのですが、同じもの同士というかそれ故に惹きあって付き合い始めます。
付き合い始めたと言ってもすぐに関係が変わるだけではなく、日常の延長線での付き合いです。
ぬる~い感じがしますが、それがまた現実感があってリアルです。
なんでもない日常を一緒に過ごせる人がいるというだけでとても幸せな二人の雰囲気が伝わってくるようです。

でも、好事魔多しという言葉通り、そんなにいいことばかりは続きません。
付き合う前は二人とも地味地味だったのですが、女は恋をすれば変わるもの。
男の子の方は大して変わりませんでしたが、女の子の方はどんどん可愛くなっていきます。
付き合っている男の子からしたら嬉しい反面、悪い虫に言い寄られないか不安になってしまいます。

そして、こういった悪い予感とは的中するもの。
可愛くなった女の子に目を付けた不良が現れます。
遊び慣れている子ならまだしも、つい先日までクラスでも目立たない子だった女の子は簡単に手玉に取られてしまいます。
不良に絡まれても付き合っている男の子に迷惑がかからない様にとお願いする女の子がいじらしくて可愛いです。
もっとも、不良の方もそういった反応がある事を期待して絡んできていたので、結果として女の子のやさしさは自分の墓穴を掘ることになってしまいます。

ここでもうちょっと気丈な対応をしていたら、夏のオトシゴはなかったのでしょうけど、経験の浅い女の子にそこまで求めるのは酷な気がします。
それでも、その代償を払わされることになってしまった女の子は少し可哀想です。

そして、このことを知らない男の子はいつもの待ち合わせ場所でずっと待っているだけ。
あまりにも残酷な現実を知らない方がよかったのか悪かったのか…
こうして事態は救いようがない下り坂を転げ落ちはじめます。

そして、女の子は夏のオトシゴの意味を知ることになります…
夏のオトシゴ(アイスピック)